ジーニー先生

先日、とても興味深いレッスンを受講してまいりました。

先生はジーニー女史。ドイツに住むヴァイオリニストでアレクサンダー・テクニックの講師でもある方です。

 

彼女と会って握手した瞬間、その手の柔らかさと力の入らなさ加減に、これから始まるレッスンへの期待感はさらに高まりました。

 

*Jeannie Tjo (ジーニー・チョー):ヴァイオリン奏者・兼アレクサンダーテクニーク教師。ミュンスター音楽大学、青少年オーケストラなどで演奏家向けの講座を担当するほか、一般企業における社員健康増進事業の一環としての講座なども行う。

 

〜〜〜〜

ここまで書いて放置していた下書き…

ブログにアップしたいことや、いろいろな公演での感じたこと、悩んだこと、思いなど、書きたいことが次々にあふれて逆に書けないというジレンマに陥ってました。

 

でもまずはこれ、ジーニー先生のことを思い出しながら書いていきます。

 

私がずっと受けてきた小島信子先生とは真逆のアプローチに、最初はとてもまごつきました。

それというのも、小島先生のアレクサンダー・テクニックは、ほとんどの過程が先生に「してもらう」レッスンで、テーブル・ワークから始まり(これが一番気持ち良い✨)次にチェア・ワークと、先生主導で行われます。

 

ところがジーニー先生は、まず何が悩みか?訊かれ、

「では楽器を弾いてみましょうか?」となって、楽器を弾き始めると、「あなたはまず、どうやって立っていますか?」と訊かれます。

その後は、

「どうやって楽器を持っていますか」

「どうやって構えましたか」

「弓はどのように持ちましたか」

と訊かれることに答えていく。

そうしている合間にもまた、

「さて、今あなたはどのように立っていますか?」

に戻ってきます。

 

これは小島先生に口すっぱく言われてきた『ここに在ること』に通ずるものだ、とだんだんわかってきました。

自分が普段何気なくしている動作をちゃんと認知してから行うこと。

でも、これは小島先生の警告する「Doing」にも繋がりかねません。

「Doing」はアレクサンダー自身が禁忌としていることで、全ての動作・姿勢は「無意識でできるようになる」ことが理想とされているのです。

「Doing」で始めた動作はそのまま不自然でイビツなものになってしまうから良くない、という教えです。


でもジーニー先生曰く、私が長年小島先生から受けてきた基礎から学ぶ指導と、ジーニー先生の教えている「問題からアプローチ」する指導の、向かっている理想は同じで、反対方向からアプローチするやり方なのだ、ということでした。

 

長年習ってきても、私には、楽器を弾いてる時にアレクサンダー・テクニックの教えを実践したり活かしたりすることが「できている」と思えたことがここ最近までほとんどなく(といっても、10年前と比べたら意識も構え方もだいぶ変化したとは思いますが)、それが悩みの種でしたが、ジーニー先生は最初から楽器を弾くことからアプローチしてくださったので、楽器を弾きながらみるみるうちに変わっていくことが手に取るようにわかります。

弾いてる時に変わった、その時の不思議な感覚や身体の自由さといったら!!!


ジーニー先生は弾いている私の頭や首、腕や腰など、ごくごく軽いタッチで「在るべき位置」に戻してくださいました。

このタッチがまた絶妙に柔らかく、無理なく、本当に自然で、ゴッドハンド✨

弾き始めた時の私は、これでも自分的にはかなり良いポジションで立ち、弾いていると自負していたのですが、彼女にタッチしてもらってるうちに、みるみる楽器の周りの空間が広がり、腕は空気のように軽く、立っているというより浮かんでいるような気分になりました。

楽器の音も、最初に弾き始めたときと弓に掛かる圧力は変えていないのに、響きが広がっていくような感じです。

 

楽器を弾いている間に変わっていくこの感覚は、私にはとても新しく、弾きながら体感するテクニックに狂喜してしまいました!!

「弾いていてもアレクサンダー・テクニックができてる!!!」

これは本当に長年の夢が叶ったような嬉しさでした!

でもこれは、ジーニー先生曰く、私が10年も基礎的な方向から学んできたからこその反応の良さ、ということで、10年習ってきたことが実った瞬間でした。

やってきて良かったです。

 

この体験をさっそく小島先生にもご報告しました。

機会があるなら是非その方向からのアプローチも続けていくべき、とのお言葉をいただきました。

小島先生あっての私なので、これまで通り小島先生にはお世話になるとしても、このアプローチからの学びを取り入れたいと考えています。

 

今回、ジーニー先生を招聘してくださったのは佐藤拓 氏。

ジーニー先生はドイツ語と英語でレッスンしてくださいましたが、外国語の苦手な私に、通訳をしてくださったのも佐藤拓先生でした。

佐藤拓先生はもともとトロンボーンでドイツ留学中にジストニアを患い、克服するのにアレクサンダー・テクニックに行き着いて、そのままアレクサンダー・テクニックを習得して免許を取られた方です。

昨年ドイツから帰国して今は日本でもアレクサンダー・テクニックを教えているとのこと。

ジーニー先生とはドイツで学んだ同僚だそうで、同じアプローチで教えているそうです。

今後は佐藤先生のところにも通いたいと思っています。


佐藤先生にはグループレッスンを勧められたので、私のまだ始めたばかりの教室の生徒さんや興味のある方を募って、一緒に講座を開いてもらいたいと思っていますので、ご興味のある方は是非ご連絡ください。

 

佐藤拓ウェブページ

http://musik.grupo.jp/